温度計に比べると湿度計のセンサーは利用されるシーンが限られているのが実情です。これは究極的には人間の関心事というか、温度についてはある一定の範囲に保ちたい欲求とか、保たないと困るシーンが比較的多いのに対して、湿度のほうはそこまで厳しいことを言わないケースが多いからというのが理由になります。例えば、温度は5℃も変われば誰でも明らかに暑くなったとか寒くなったことが肌で感じられます。一方で湿度は、5%変わったことに気付けるのは相当に敏感な人だけで、多くの場合は、単に今日は乾燥しているとかじめじめしているといった程度に大雑把なものです。
このためあえて湿度計センサーが必要なシーンは限定的ということになります。ですが、人間が快適さを求める程度には限りがないというか、一つが達成されればさらに高いレベルの快適さを求めるのが人間ということもできます。この意味では湿度も、自分では直接は感じられない程度かもしれないけれども、無意識のうちにでも快適とされる範囲内に適切にコントロールしたいという要求は、今後より強まってくると予想されます。そうなると湿度計センサーも今までよりはさらに広範囲に使われることになります。
現状では、加湿器や除湿器の一部にその機能が搭載されている程度であって、そのような機器を日常生活の中で使っている人は決して多くはないかもしれませんが、このような状況はそのうちに変わってゆくかもしれません。